岩城橋、最後の橋桁
愛媛県越智郡上島町、「ゆめしま海道」。1996年に開通した「弓削大橋」、2011年に開通した「生名橋」に続き、2022年3月には岩城島と生名島を結ぶ全長916mの「岩城橋」が完成、全線開通の時を迎えた。
それに先立ち、2021年6月、岩城橋で結ばれる生名島と岩城島の両側からつながれてきた橋桁の最後のひとつが架設された。前日には町内放送でアナウンスされ、朝6時過ぎに集まり始めた車の列は、7時過ぎには岩城島/生名島双方の海岸沿いの県道に長く長く伸びた。
「毎日LINEで工事の写真を送ってくれよる人がおったんよ。でも今日くらいはみんなで見に行こうってことになってねえ」と笑う近所の主婦グループ、「工事の様子を眺めるのが生名島に来る楽しみのひとつでした。だから今日は絶対に来たかったんです」と話す因島のサイクリスト夫婦、「とても貴重な体験だからこの子に見せたくて」と微笑む母親と小学生の女の子、新聞や隣県タウン誌の取材記者、工事関係者…。
小雨がぱらつき、岩城島側は高さ137.5m、生名島側は高さ132.5mの主塔の天辺が霞む中、橋上に設置されたエレクションノーズ(橋上クレーン)が船で海上に運搬されて来た重さ約60t/長さ約13.7mの橋桁を約1時間かけて引き上げていく様子を様々な人たちがそれぞれの思いで、傘を差し見守った。